線香花火
「っ…大好き、だったんだよ。総司くんのこと」
静かに落とされた言葉に、不覚にも泣きそうになった。
それを悟られないように、上を向いたまま小さく「うん、知ってた」と声にする。
「貴方を、っ愛していたのに…」
視界が歪んで、何かが頬を滑った気がしたけど、気にせずまた「うん」と声に出す。
僕も大好きだったよ。
本当に、どうしようもないくらい君が好きだった。
人を殺すことしかできないと思っていた僕にも、まだ人を愛するという気持ちがあることを教えてくれた君のことが、誰よりも大好き。
でも、ごめんね。
僕は君を選べない。
君を選ぶには、僕は血に染まりすぎてるんだ。
だから…
「僕を恨んで」
愛しい人として君の中に残れないのなら、いっそのこと僕のことを恨んでよ。
愛情を恨みに変えて、ずっと僕のことを…
「憎んで、恨んで」
君の中に刻んで、忘れないで。
それはきっと、僕のわがまま…