キズナ大戦
「青団に、化け物が入ったらしい」
「しってる」
「まだ餓鬼らしい」
「しってる」
「だーもうなんなんだよ!」
「しらない」
八神美寿(やがみみこと)と城ヶ崎敦(じょうがさきあつし)の日常の会話はこのような物である事が多い。この二人は藍団スーパーバイズで八神が団長を、城ヶ崎が副団長兼情報収集係を担当している。
「青団リライアンス所属、九条瑞貴。史上最年少の15歳戦士。青団所属前からすでに青団の団長や副団長とは面識があった。しかしコネや贔屓などの概念をぶち壊しにする戦闘能力を持つ……か。まあ青団の奴らが贔屓なんてするわけないけどね」
「はぁ、それ、俺の仕事なんだけど」
しかし、普段訓練や見回りをしている城ヶ崎より一日中コンピューターと向き合っている八神が先に情報をゲットすることの方が常である。
そこに、ドアの開く音がした。
「あ、また喧嘩してる〜」
「ははっ、今日も平和だな」
そこに入って来たのは川上千春(かわかみちはる)と早川誠(はやかわまこと)。八神達と同じ、スーパーバイズの幹部である。
団員が五十人近くいる最大の団、藍団は彼ら四人を中心として動いている。
「美寿、F班が呼んでたよ」
「……仕方ない。敦、いくよ」
「はいはい」
不機嫌極まりない台詞を吐いた八神と巻き込まれた城ヶ崎は部屋を出た。