神様修行はじめます! 其の三
・・・そ、それはそうだけど・・・!


「だからって敵の言うがままなわけ!?」


抵抗ぐらいするのが正義の味方のセオリーってもんでしょ!?


やってみたら偶然どうにかなるかもしれないじゃん!


このまま黙って引っ込んでられないよ! あたしは護衛役なんだから!


「いいから黙って引っ込んでくれ」


「ちょ、なにその言い方むかつくー!」


「言い方が気に入らないなら、こう言い換えよう。この僕ですら術が発動しないんだよ」


「・・・・・・え?」


「君にどうこうできる自信があるのか? 頼むから無駄な労力は慎んでくれたまえ」


あたしは彼の冷たく美しい表情を見た。


門川君ですら発動できないの?


「門川に永久あり」とうたわれる、門川君ですら?


・・・・・・


あたしは急速にシオシオとおとなしくなってしまった。


情けないけど、でも門川君の言う通り。


術が発動できなきゃあたしなんて何の手も打てない。


護身術なら使えるけど、基本的にあれは防御術だし。


それに飛び掛っていったところで、絹糸の二の舞は目に見えている。


無意味と分かってる行動をして、力の無駄遣いをするなと彼は言ってるんだ。


あたし達は・・・まんまと捕らわれた。


籠の鳥になってしまったんだ。


キュッと唇の端を噛んだ。

くやしい。何もできないなんて。


唇噛んで、あのニヤつく白い顔を睨みつけるぐらいしかできない。


門川君がマロの方へ向かって一歩前へ進んだ。


あたしは慌てて、更に彼の前へ出ようとする。


それを腕で押さえ、彼は静かに首を横に振った。


「いい。君は岩さんとここにいたまえ」

< 108 / 460 >

この作品をシェア

pagetop