神様修行はじめます! 其の三
知らずに思いっきりイタイ行動とっちゃったじゃん!


「お前は常時イタイ行動じゃろうが」

「んも~、誰よ? 来客って」


あたしはダウンコートを脱ぎながらドスンと腰を下ろした。


気の利かない客ね。よりによって今日訪ねてくる事ないじゃん。


テンションMAXだった分、怒りもMAX!


「腰ぎんちゃくの小判ザメじゃよ」


「小判ザメ?」


「新当主にすり寄って、うまい汁を吸おうとしておる者どもじゃ」


あぁ・・・。


門川君が当主になったとたん、各一族の当主達が大挙して屋敷に押し寄せてきていた。


親切顔で門川君に自分を売り込むために。


今まで奥方側で門川君に敵対していた者まで、まるでそんなこと無かったかのように、厚かましく手の平を返している。


砂糖にアリが群がるみたい。


「まだ収まってなかったの? あのアリンコ集団の怒涛のアピール攻勢」


「一時よりは収まったがの。今は・・・」


「今は?」


「・・・・・」


「絹糸?」


「娘を持つ長たちが、娘同伴で連日押しかけて来とるわ」


「・・・・・」


その言葉があたしの胸にズクンと重く響いた。


門川君は、当主になった。それはつまり・・・


当主として、跡継ぎを作らなければならないという事だ。


それは当主として一番最初の、そして最大と言っても過言ではない責任。


だから上層部たちが最初からヤイヤイ騒いでは、いた。


一刻も早く結婚して、子を作れって。


そっか・・・。

ついに本格的に稼動し始めたか・・・。
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