神様修行はじめます! 其の三
雛型の夫にとってそれは大きな衝撃じゃった。
噂の真相を確かめずにはおられなかった。
端境に見つかるのを覚悟で門川の屋敷を訪れ、事情を問いただした。
『子が・・・妻の腹に子がいたと聞きました! 触媒に使われたと! それは本当なのですか!?』
『確かに事実である』
『な・・・!?』
『体の中に命がふたつ存在しては術を施行できぬ。当然の処置である』
あっさりと返されたその返答に夫は驚愕し、打ちのめされた。
次々と襲いかかる身内の死。そのうえ、まだ見ぬ我が子までも・・・。
悲劇な現実を前にして、息も絶え絶えに絶叫する。
『なぜ生まれるまで待ってくださらなかったのですか!?』
『待つ事などできぬ。これは大罪である。償いは迅速に行われねばならぬ』
『惨い! 惨すぎる! いくら罪人とはいえ無事に子を生む権利くらい・・・!』
『他者の生きる権利を奪い尽くした大罪人に、権利などは何ひとつ与えられぬ』
夫は言葉を詰まらせた。
それを言われては・・・反論できぬ。
確かに大勢の子の命を奪っておいて、自分は無事に子を生みたいなど虫が良い話。
だが・・・
『だが、子には何の罪も無い!』
『・・・・・』
『責められるいわれは無い! 妻の両親も妹もです! なのに・・・!』
『罪人の家族とは、犯してもいない罪を背負わされる。それも当然の事である』
『!!』
『その不条理さこそが、罪という恐ろしさよ。犯してはならぬものを犯した、愚かさの代償である』
『そん・・・な・・・』
『雛型の親も、兄弟も、まだ生まれぬ子も、命をもって大罪を償った。償いを求める者がいる以上は、それはしかるべくであろう』
『い・・・い・・・』
夫はワナワナと震えた。
頬の筋肉が引き攣り、声がうまく出てこない。
やっとのことで振り絞るような悲痛な声が出た。
『命までも、差し出さなければならないのですかっ!?』
噂の真相を確かめずにはおられなかった。
端境に見つかるのを覚悟で門川の屋敷を訪れ、事情を問いただした。
『子が・・・妻の腹に子がいたと聞きました! 触媒に使われたと! それは本当なのですか!?』
『確かに事実である』
『な・・・!?』
『体の中に命がふたつ存在しては術を施行できぬ。当然の処置である』
あっさりと返されたその返答に夫は驚愕し、打ちのめされた。
次々と襲いかかる身内の死。そのうえ、まだ見ぬ我が子までも・・・。
悲劇な現実を前にして、息も絶え絶えに絶叫する。
『なぜ生まれるまで待ってくださらなかったのですか!?』
『待つ事などできぬ。これは大罪である。償いは迅速に行われねばならぬ』
『惨い! 惨すぎる! いくら罪人とはいえ無事に子を生む権利くらい・・・!』
『他者の生きる権利を奪い尽くした大罪人に、権利などは何ひとつ与えられぬ』
夫は言葉を詰まらせた。
それを言われては・・・反論できぬ。
確かに大勢の子の命を奪っておいて、自分は無事に子を生みたいなど虫が良い話。
だが・・・
『だが、子には何の罪も無い!』
『・・・・・』
『責められるいわれは無い! 妻の両親も妹もです! なのに・・・!』
『罪人の家族とは、犯してもいない罪を背負わされる。それも当然の事である』
『!!』
『その不条理さこそが、罪という恐ろしさよ。犯してはならぬものを犯した、愚かさの代償である』
『そん・・・な・・・』
『雛型の親も、兄弟も、まだ生まれぬ子も、命をもって大罪を償った。償いを求める者がいる以上は、それはしかるべくであろう』
『い・・・い・・・』
夫はワナワナと震えた。
頬の筋肉が引き攣り、声がうまく出てこない。
やっとのことで振り絞るような悲痛な声が出た。
『命までも、差し出さなければならないのですかっ!?』