神様修行はじめます! 其の三
「滅火の力が今にも発動しそうよ!」

「よせ! シャレにならぬわ!」

「こっちこそシャレになんないって!」


ガスドスッ!と音を立てて畳を連打するあたしを、しま子がオロオロと見ている。


絹糸は肉球の見える手をパタパタさせ、あたしに落ち着くよう促した。


「別に永久はお前を裏切ってはおらぬわ」


「これが裏切り行為以外のなんだって言うの!?」


「お前も知っておろうが。永久は自分の気持ちに気付いておらんのじゃ」


「それは・・・!」


そ・・・れは・・・

確かに・・・・・


門川君は、その特殊すぎる育成環境と生い立ちのせいで・・・


一般常識というものが、丸まんまスッポリ欠如している。


この世に『恋愛』というものが存在している事を知らない。


だから当然、あたしへの感情が恋愛感情だと気付いていない。


彼の中であたしは『かけがえのない大切なお友達』程度の認識でしかない。


「小娘の存在と自分の結婚とを、結びつけて考える事ができぬのじゃよ」


「・・・・・」


「どうも永久は、結婚や花嫁の事を、会社の共同経営者を選ぶようなものだと認識しておるようじゃ」

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