神様修行はじめます! 其の三
セバスチャンさんの声に緊張が走る。

あたしも寒さとは違うものが体を走り緊張した。


里は異形のモノで溢れかえっていた。


ここから見てもハッキリ分かるほど大量にウヨウヨしてる。


日本昔話に出てくるような様々な容姿をした化け物に、里は完全占拠されてしまっていた。


みんな・・・里のみんなは!?


「・・・来た!」


上空から巨大顔面が何匹が襲い掛かってきた。


凍雨君が、両足でしっかり牛の体を挟みながら気合を込めて両手で印を組む。


キンと凍った空気が巨大顔面の動きを鈍らせた。


いまだ!


あたしは一気に精神を集中させた。


血が沸き立ち、熱く燃える。

鼓動が速まり頭の血管がドクドク脈打った。


視界が・・・変化する。


遠い上空の巨大顔面との距離感が、頭の中で近づいたり遠ざかったり・・・


あぁ、意思が張り詰める・・・

力が膨れ上がる・・・


さあ、さあ、さあ・・・・・!


いけ―――――っ!!!


ドンッと体中の気が爆発を起こす感覚。


巨大顔面達は全て滅火の炎に包まれた。


真っ赤に燃え、もがきながら次々と落下してくる。


よおぉぉっしゃああ! 一丁上がりぃ!!


その下を掻い潜る様に、あたし達は権田原へ向かって駆け抜ける。


里の入り口に到着した。


セバスチャンさんは速度を緩めず、里の中に一気に突っ込んだ。


えぇ!? つ、突っ込むの!?

コッソリとか、静かにとか、バレないようにとか、そーゆーの一切無し!?


ひえぇぇ―――っ!!


あたし達も後へ続いて突入する!


当然、あたし達に気がついたモノ達が襲い掛かってきた。
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