神様修行はじめます! 其の三
門川 乙女会
集団の先頭に立つ女性があたしに話しかけてきた。
一番年長で20代半ばか、後半くらい。
身にまとう着物の柄は、重ね熨斗の縁起の良い振袖。
漆塗りの高価そうな飾り櫛。手の込んだ細工のかんざし。
日本人形のような顔立ちと、それを充分に意識しているらしい和風な化粧が目立つ。
「お前、あちらへ里帰りしていたようねぇ」
「・・・こんにちは。塔子(とうこ)さん」
一応、あたしは挨拶した。
もっさりと低い声で。
すると背後に控えた女の子達が、さっそく文句を言ってくる。
「里緒! 塔子様、とお呼びしなさいと教えたでしょう!」
「塔子様は、先代の奥方様ご一族に繋がるお嬢様なのよ!」
「まったく礼儀知らずにもほどがあるわ!」
先代の奥方。
つまり、鬼ババの奥方と親戚って事じゃん。
ろくなもんじゃねーわ。そりゃ。
思い切りしらけていると塔子さんが、まぁまぁと女の子達を宥めた。
「しかたないでしょう。里緒は私達と違って、あちらの出だから」
「そうですね、塔子様」
「里緒が私達と違うのは、しかたないですねえ」
「くすくすくす・・・」
口元に手を当てたり、扇で隠したり。
揃ってわざとらしく忍び笑いするたび揺れるかんざしを見ながら、あたしはゲンナリした。
あぁ、急いでるのにまたネットリしたのにとっ捕まっちゃったなぁ。
『門川 乙女会』
この古くさぁいネーミングの集団は、全員が有力者の娘達だ。
一番年長で20代半ばか、後半くらい。
身にまとう着物の柄は、重ね熨斗の縁起の良い振袖。
漆塗りの高価そうな飾り櫛。手の込んだ細工のかんざし。
日本人形のような顔立ちと、それを充分に意識しているらしい和風な化粧が目立つ。
「お前、あちらへ里帰りしていたようねぇ」
「・・・こんにちは。塔子(とうこ)さん」
一応、あたしは挨拶した。
もっさりと低い声で。
すると背後に控えた女の子達が、さっそく文句を言ってくる。
「里緒! 塔子様、とお呼びしなさいと教えたでしょう!」
「塔子様は、先代の奥方様ご一族に繋がるお嬢様なのよ!」
「まったく礼儀知らずにもほどがあるわ!」
先代の奥方。
つまり、鬼ババの奥方と親戚って事じゃん。
ろくなもんじゃねーわ。そりゃ。
思い切りしらけていると塔子さんが、まぁまぁと女の子達を宥めた。
「しかたないでしょう。里緒は私達と違って、あちらの出だから」
「そうですね、塔子様」
「里緒が私達と違うのは、しかたないですねえ」
「くすくすくす・・・」
口元に手を当てたり、扇で隠したり。
揃ってわざとらしく忍び笑いするたび揺れるかんざしを見ながら、あたしはゲンナリした。
あぁ、急いでるのにまたネットリしたのにとっ捕まっちゃったなぁ。
『門川 乙女会』
この古くさぁいネーミングの集団は、全員が有力者の娘達だ。