神様修行はじめます! 其の三
それで、本来なら肩身が狭い奥方の親戚達も、大きな顔で屋敷内をうろついていられるという訳だ。


「勘違いをしては困るわ。里緒は当主様づきの、ただの端女(はしため)なのよ?」


端女=小間使いとか、使用人。


ちょっとムッとする言葉だけど、それがつまり、今のあたしの門川での立場なんだ。


ところが・・・・・・


門川君の心が、そのたかが使用人のあたしに向いているらしい。


おもしろくない。みんな当然、あたしの存在がおもしろくない。


それで乙女会の総力を結集して、あたしにネチネチ嫌がらせをしてくる。


と、いうわけなんだ。


はぁ・・・相変わらず、めっぽう湿度の高い連中だよ。


周囲に撒き散らす、生乾きのブラジャーみたいなこの不快感ったら。


自分でイヤになんないのかなー?


でも、なにせこちとら死線を潜り抜けたサバイバー。


こんなオンナノコな攻撃程度、屁でもないもん。


しかもそんなあたしの態度が、おじょーさま方にはエラく癇に障るようで。


ますますイジメに血道を上げると、こういうわけだ。


・・・付き合ってらんないよまったく。


「とにかく急いでるので。失礼します」


ピシャリと一方的に会話を断ち切ってやった。


「行こ。絹糸、しま子」

「うむ。そうじゃな」

「うあぁ~」


こっちは今、忙しいの。時間を持て余してるおじょーさま方と違って。


なにせ端女なもんで~。はっはっは。

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