神様修行はじめます! 其の三
ぶつかった?

あたしが? 門川君と? いつ?


・・・あ、そーいえば、なんかさっき衝撃を感じたような。


そんで、火花が散ったような。


あたしは自分のオデコに手を当てる。


微妙~に、慎ましやかぁ~に、オデコがじんじん痺れている・・・ような、気、が・・・


・・・って事は!!?


あ、あたし! 起きた瞬間に勢い余って・・・


門川君の顔面にヘッドバッドしちゃったってことおぉぉ!!?


ぎゃ―――!!? 最悪―――!!

か、彼にプロレス技かましちゃったよ!!


「門川君ごめんなさい!! 大丈夫!?」


「お帰り、天内君。ずいぶん派手なご帰還だな・・・」


彼はゆっくり体を起こし、袂から白いハンカチを取り出して鼻を覆った。


手を離した時、彼の鼻から口元にかけて真っ赤な血で覆われているのが見えた。


ひえぇぇ・・・といっぺんに血の気が引く。


ど、ど、どーしよう! かなりの必殺技が炸裂したみたい!


守るどころか流血ショーになってしまった!


あの優美な鼻梁が崩れちゃったらどうしよう!


彼の真珠のような白い歯が折れてたりしたら・・・


差し歯!? 彼って差し歯になっちゃうの!?


「本当にごめんなさい! ぜひとも通院費用はこっちに請求してちょうだい!」


「通院費?」


「あたしの岩石頭のせいで、門川君の美貌に大ダメージを・・・!」


「あぁ、違うよこれは。君の頭突きのせいじゃない」


「へ?」


「確かに、かなり痛かったけどね。目から火花が出たよ。君、火打ち石みたいな頭だな」


火打ち石って・・・。


じゃ、じゃあその鼻血はどうしたの??


「君のせいじゃない。気にするな」

「でも・・・」

「永久よ、はっきり言ってやれ。それは小娘のせいであろうが」


あ、絹糸。

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