神様修行はじめます! 其の三
門川君!!


彼の背後に、治療を終えたムク犬ブラザーズと刺客達、凍雨君が見える。


みんなしっかりした顔つきで完全に回復を済ませたようだ。


「当主様! ここは我ら刺客部隊にお任せを!」


「いえ! ぼくがやります永久様!」


「いや、時間が惜しいのでまとめて一気に片付けよう」


刺客部隊と凍雨君を片手で制し、門川君はもう片方の手で簡単に印を組む。


『何色にも染まらぬものに、その身を染める時は来た。・・・これぞ、断罪』


―― ザンッッ!!! ――


「うわっ!!?」

すぐ真横で感じた冷気に、あたしは思わずビビッて身を避けた。


言霊が唱えられた瞬間・・・地中から大量の太いツララがスッゴイ勢いで生えてきた。



刃先のように鋭利に尖る先端を上に掲げて。

その透明な先端がトカゲ達の体を下から容赦なくズバズハ刺し貫く。


でかっ!何メートルあるんだろうこのツララ!


一面ビッチリ隙間ひとつ無く、数え切れないほどに生える凶器の巨大ツララ。


垂直に、斜めに、各方向から、これでもかと言わんばかりに繰り返しトカゲ達は貫かれ続けた。


― ザンッ! ドガッ! ズバッ! ―


う、うわあぁ~・・・。


あたしは少々気の毒になって、凄惨な効果音と共にその光景を眺める。


殺戮、繰り広げられちゃってるよ。


門川君たら、なにもここまでご丁寧にトドメ刺しまくらなくても。


性格、出てるよねぇ。こーゆートコにさ。


トカゲ、さすがにかわいそうかも。


原材料が溶岩であることを差し引いても、痛そう・・・。


残ったトカゲ達は一網打尽。もうピクリともしやしない。


本当にあっという間に、門川君の手によって残党狩りされてしまった。


はあ、お見事。相変わらず。


串刺しになったトカゲの残骸が、目一杯気前良く広がっているし。


見てて気持ちの良い景色じゃないねこれ。ひょっとしてこのまま放置?


精神衛生上良くないわよ。景観も損ねるしさ。


そこんとこちゃんと考えてんのかしら? こーゆートコもやっぱり性格が出てる。

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