神様修行はじめます! 其の三
「やれやれ・・・」

あたしを薄目で見ていた門川君が、呆れた様子で両手で印を組んだ。


やっつけてくれるの? あの悪魔を。


・・・あたしのためにっ!?


あたしを守ってくれるのね? ありがとう!


ピンチの時にあなたは必ず守ってくれる!


なんだか心底めんどくさそーに見えるけど、本当はそんなこと全然思ってないのよね?


あたしには分かってる。


あなたの隠れた優しさを出会った時から信じてたよ。


あぁ、氷の壁の奥にある、あなたの綺麗なお花が見え・・・


――スッ


と突然、盛り上がりまくってるあたしの目の前で、門川君の両手の印が解かれた。


・・・・・・

へ??


「あの、門川君?」


「やっぱりやめた」


「・・・・・・はい?」


「術を発動するのは中止だ」


「ほへ?」


「考えてみたら、これまで僕もかなり力を使っている。今後に備えて温存しよう」


「・・・・・・」


「君、自分の事は自分で何とかしたまえ」


・・・・・・・・


はああぁぁ―――っ!!?

ちょっとなにそれぇぇ――!!


絹糸の体毛を、引き千切らんばかりに強く握り締めて叫んだ。


「なにそのあんまりな仕打ちはっ!?」


「こ、こりゃ小娘! あんまり引っ張るでないわ!」


「ありえないわよ! バカじゃない!?」


「バカ力で引っ張るなと言うに!」

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