神様修行はじめます! 其の三
「どーゆーことよ!? 門川君はあたしを守ってくれるんじゃないの!?」


あたしの激昂を横目に門川君は、淡々とした様子を崩さない。


「現状において、面倒な事に力を費やす余裕は無い」


め・・・面倒って・・・・・・


心底めんどくさそうには見えたけど、ホントにめんどくさかったのか! あんたは!


があぁぁっと怒りの血潮があたしの全身に駆け巡る。


信じらんないこの男! 最っ低ー!


「あぁ! 氷の奥の花びらを、一枚残らず毟り取ってやりたい!」


「その前に我の毛を毟るつもりか!?」


「門川君って本当に冷血漢ね!」


「だから、ぼくは冷血ではなく氷血だ」


「あ、あの、永久様!? お取り込み中すみませんけど、なんか、どんどん接近されてるんですけど!?」


凍雨君が青い顔で硬直している。


黒山の大群が一斉に押し寄せてパニック映画のワンシーンのようだ。


もう回避する余裕は無い。


鳥たちの恐ろしい声が何十何百と重なり、鼓膜を激しく振動させた。


― ギャアッ! ギャアアァ――ッ! ―


「やっかましいぃ―――――!!!」


あたしは振り向きざま鳥たちに向かって、渾身の一喝を放った。


今は大事な取り込み中なの!


その不細工な変形ヅラ洗って、出直して来いー!!


一瞬、目の前でバチン!と何かが走った。

すると・・・・・


― ゴオオォォォッ!! ―


鳥の大群自身が発火剤になったかのように、いきなり恐ろしいほどの業火が巻き起こった。


思わず後ろに仰け反る。


フラッシュオーバー。炎の瞬間拡散現象だ。

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