神様修行はじめます! 其の三
「お待ちなさい。そんなことしたって無意味よ。それに単独行動は危険だわ」


「でも、もっと徹底的に切れば、なんとかなるかもしれません!」


「なに言ってるのよ。端境一族の目の前で、彼らの誇りの象徴である結界術を容赦なくぶった切るつもり?」


「で、でも、じゃあどうしたら・・・」


「あたしがやるわ」


塔子さんが、自慢の拳にグッと力を込める。


「この拳で結界を破壊する」


「・・・へ!? 結界って、物理攻撃で解除できるもんなのぉ!?」


「あたしに解除なんか出来るわけないでしょ? だから解除じゃなくて、破壊よ。ぶっ叩いて壊すのよ」


そう言って塔子さんは両足を大きく開き、ずんっと腰を低く下げた。


目を瞑り、右の拳を結界の揺らぎに向け、そのまま姿勢を保つ。


そして呼吸を整え・・・精神集中。


やがて塔子さんの周囲の空気が、濃度が、ヂリヂリと研ぎ澄まされるように変化し始めた。


彼女の全身に、鋭い闘気のオーラがどんどん満ちていく。


・・・はぁ、なるほど。

とにかく目の前の物は、片っ端からブッ壊して進むのみ、と。


それって塔子さんの性格に、実にピッタリな方針だ。

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