神様修行はじめます! 其の三
「うわ! デカ! なにこの真っ黒い門は! どっから出現した!?」
黒一色で、他には何の色彩も無い不気味な門の上には、お守りみたいにこれまた真っ黒な像が、何体も飾られてる。
あれ、犬かなー? たぶん犬だよね? やたらおっかない顔してるけど。
そのブサイクな犬から視線を移動させて、周囲の様子を窺うと、ずーっと奥の方に小さな建物が見える。
建物といっても、四本の白い柱が平たい屋根を支えているだけ。
でも柱の間にぐるりと赤い布が覆われているから、中の様子はまったく分からない。
そんな建物とも言えないような物が、ポツンとひとつ建っていた。
「あの中じゃ。あの中に雛型がおる」
絹糸の声に皆の気が引き締まった。
「よし、行こう」
緊張しながら門をくぐって中に進み、建物に向かって一歩一歩近づいていく。
布の向こうには、何の変化も無い。
風に揺らぐ事すらなく、その静寂が逆に緊張感を掻き立てる。
ついに、手前数メートル。あたし達は立ち止まった。
・・・ここに雛型がいる。
世界を脅威にさらし、そして世界を救う力を持つ人が。
あたしはゆっくり息を吐いて胸を空っぽにして、それから大きく空気を吸い込んだ。
「雛型」
そして、建物に向かって静かに語りかける。
「雛型・・・出てきて」
雛型、あたしだよ。
あの時、吹雪の中で泣いていたあなたと出会った。
お互いに涙を流し、お互いに手を差し伸べ合ったよね?
ねえ、出てきて。そして話そうよ。
言いたいこと、いっぱいあるでしょう?
聞くよ。全部聞く。なんでも聞くから。
話して。話そう。
聞かせて欲しいんだ。あなたの言葉を。
黒一色で、他には何の色彩も無い不気味な門の上には、お守りみたいにこれまた真っ黒な像が、何体も飾られてる。
あれ、犬かなー? たぶん犬だよね? やたらおっかない顔してるけど。
そのブサイクな犬から視線を移動させて、周囲の様子を窺うと、ずーっと奥の方に小さな建物が見える。
建物といっても、四本の白い柱が平たい屋根を支えているだけ。
でも柱の間にぐるりと赤い布が覆われているから、中の様子はまったく分からない。
そんな建物とも言えないような物が、ポツンとひとつ建っていた。
「あの中じゃ。あの中に雛型がおる」
絹糸の声に皆の気が引き締まった。
「よし、行こう」
緊張しながら門をくぐって中に進み、建物に向かって一歩一歩近づいていく。
布の向こうには、何の変化も無い。
風に揺らぐ事すらなく、その静寂が逆に緊張感を掻き立てる。
ついに、手前数メートル。あたし達は立ち止まった。
・・・ここに雛型がいる。
世界を脅威にさらし、そして世界を救う力を持つ人が。
あたしはゆっくり息を吐いて胸を空っぽにして、それから大きく空気を吸い込んだ。
「雛型」
そして、建物に向かって静かに語りかける。
「雛型・・・出てきて」
雛型、あたしだよ。
あの時、吹雪の中で泣いていたあなたと出会った。
お互いに涙を流し、お互いに手を差し伸べ合ったよね?
ねえ、出てきて。そして話そうよ。
言いたいこと、いっぱいあるでしょう?
聞くよ。全部聞く。なんでも聞くから。
話して。話そう。
聞かせて欲しいんだ。あなたの言葉を。