神様修行はじめます! 其の三
「ほほ・・・ほ・・・」

己の真意に反し、笑い続けるマロの表情が歪んだ。

その両目から涙がホロホロと伝い落ちる。


「ほほ・・・ほ、ほほ・・・」

マロは、泣きながら笑い続けていた。

己をさげすまれながら。

愛する一族を侮蔑されながら。

泣きながら、笑う事を強いられている。


伝い落ちる涙の数だけ、彼は苦しんでいる。
苦しめられている。

踏みにじられて、泣いている。


あたしは、雛型になる術をかけられた時の、あの苦しみと悲しみを思い出していた。


もう、涙で声すら出ないのに・・・

彼は自分の意思では、笑う事をやめられないんだ!


この因業ババめ! 人が涙を流すのを見て、なにがそんなに楽しいか!

あんたはどこまで人を虐げれば気が済む!?


あたしの目にも涙が浮かんで、この思いが少しでも伝わることを願って、ひたすらマロに向かって叫んだ。


「マロ! マロ―――!!」


どうか泣かないで!
今すぐ助けるからー!


―― キイィ・・・ン!


突然激しい耳鳴りがして、そこら中の地面一面、結界術の黄色い光が充満した。


そして地面に大きな気泡が現れる。

みるみるうちに、地面のあちこちに大小様々な気泡が現れ、ゴポゴポ音を立てて弾けた。


なにこれ、まるで地面が沸騰し始めたみたい。
黒い、お湯?

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