神様修行はじめます! 其の三
近くで弾けた大きな気泡の水滴が飛んで、しま子の足にかかった。

「がぁ!?」

とっさに足元を庇うように押さえたしま子の手元から、濛々と煙が上がった。


「しま子!? 怪我したの!? ちょっと見せて・・・」


傷口を見たあたしは、絶句した。

しま子の足の赤い皮膚が溶け、生々しい肉が露見している。


なにこれ、まさか塩酸!? 硫酸!?

そんな! 鬼の皮膚を溶かすなんて!


―― ゴポゴポゴポ!


黒い気泡はたちまち増え、地面全体が沸騰したかのように泡立ち、あたし達の足元まで迫っている。


こ、これ全部が酸なの!?

しま子の皮膚を簡単に溶かすなんて、普通の化学物質じゃない!

人間が被ったら、ひとたまりも無い!


「皆さん、下がってください!」


凍雨君が素早く印を組み、術を発動した。

黒い地面が透明な氷で覆われる。と・・・


―― ジュワアアァァ――――!


「うわあぁっ!?」

「きゃあぁっ!?」


いきなり地面が、噴水みたいに激しく水飛沫を上げて舞い上がった。


その黒い飛沫を前に、とっさにしま子が両手両足を大きく広げて立ちはだかる。

しま子の全身のあちこちから、嫌な音をたてて煙があがった。

「があぁぁー!」

仰け反り、しま子は悲鳴をあげる。

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