神様修行はじめます! 其の三
ひょっとしてもう会えないのかと思って、寂しかったんだよ。


「岩よ。お前、来るなら来るで連絡ぐらい寄こさんかい」


「んまあベルベットちゃん、お元気でした?」


「我は絹糸じゃ!」


いつものお約束のやり取り。


お岩さんがコロコロと楽しそうに笑い、絹糸も微笑んだ。


「みなさんお変わりないようで・・・んまあっ!? しま子!」


「う、うあっ?」


「あなたちょっと! よくお見せなさいな!」


お岩さんは、緊張して立っているしま子の全身を頭から足の爪先まで眺めた。


そして巻き舌で叫ぶ。


「ヌ~ベル・ヴァ~グ! ですわ!」


「・・・・・・うあぁ??」


「赤い花柄ハンテン、大きなボンボンのニット帽! これぞ称賛に値する、見事なセンスですわ!」


なんか良く分かんないけど、どうやら褒められているらしい。


と理解したしま子が、すっかり上機嫌になってエヘッと笑った。


そーでしょ!? やっぱり可愛いよねぇ! 


「なのになぜか不評なんだよ、みんなには」


「仕方ありませんわ。常識に囚われた者に、これを理解するのは難しいですわ」


「・・・で? 一般常識から外れまくっとるお前が、なにしに来たんじゃ?」


「永久様に大事な用があって、これからお会いしますの。ちょうど良かったですわ。みんなで行きましょう」

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