神様修行はじめます! 其の三
「僭越ながら、麻呂が御助力できましょう」

治癒を終えて回復したマロが、すっかり落ち着いた口調で話しかけてきた。


「麻呂の結界術で、門川当主殿の術式を囲い込みまする。さすれば、結界の中で治癒術が維持されまする」

「え? それじゃ・・・」

「門川当主殿がこの場を離れても、なんら問題おじゃりませぬ」


ほんと!? うわ~、それってすっごく便利じゃん!

門川君がどうしても手を放せなかった治癒の術中でも、これからは身動きできるようになるって事だよね!?

それってすんごい戦力アップだ!

ほら! ほらね!?
いろんな事が、少しずつ明るい方へ変わってきてるよ!


「それは非常にありがたい申し出だ。お願いできるだろうか?」

「当然におじゃりまする。門川当主殿」

「ぜひともお願いする。それと、もうひとつ」

「はい。なんなりと」

「永久、と呼んで欲しい。仲間は皆そう呼んでくれるんだ」

「・・・・・・」


マロは門川君を見た。
そして・・・

「承知。ならば麻呂をも、典雅(てんが)とお呼びくだしゃりませ」

「・・・ありがとう。典雅殿」


マロが結界術を発動させた。
その中でしま子、凍雨君、塔子さんの治癒が順調に維持されている。

よーしよし! これで完璧!


あたしは結界で包まれてしまう前に、術から強引に抜け出した。

まだ無理をするなと言われたんだけど、のんびり治癒されてる場合じゃない。行かなきゃならない。


待っているんだ。
雛型が、孤独の中で。

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