神様修行はじめます! 其の三
中に入った途端、真の闇が完全に辺りを包み込む。
うわ、ほんっと真っ暗でなんにも見えない。

あたしは心細さのあまり、思わず門川君の手に縋りついてしまった。


「お願い門川君、手を放さないで」
「大丈夫だ、天内君」

彼の大きな手にギュッと握り締められ、その感触に思わずトクンと胸が高鳴る。

あたしも力一杯、彼の手を握り返した。


門川君、あなたの温もりが嬉しいよ。

あたしを絶対に離さないでね。

あたしも、絶対この手を放さないから。

あなたが隣にいれば、暗闇だって全然怖くは・・・

怖くは・・・


いや! それとこれとは話は別!
やっぱ暗黒は怖い~!


先が全く見えない場所を歩く行為は、本能的に恐怖心が湧き起こってしまって、どうしても及び腰になる。

ビクビクと爪先で周囲を探りながら進んでいると・・・


「なにをしている天内君。さっさと行くぞ」

門川君にグィッと手を引っ張られて、転びそうになった。


「うわ! 危・・・あぶな・・・!」

「ほら、早く来たまえ。絹糸とはぐれてしまう」

「危ないって! 引っ張らないで門川君!」

「グズグスするな。早く来い」

「だから引っ張るなって言っ・・・危ないから手ぇ放してよ!!」


思わずムカついて怒鳴りつけてしまった。
あぁもう、ほんとにこの男は・・・。


「永久、小娘」

さらに怒鳴りつけようと息を吸ったところで、絹糸に呼びかけられた。

「なによ絹糸! 邪魔しないで・・・あ」


絹糸の視線の先。そこに・・・


「雛型じゃ。ようやく、会えたのぅ」

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