神様修行はじめます! 其の三
「いや、ははは。これは困りましたな」


「決まり事を破っては、当主としての資質が問われましょう」


「そんな事になってはお立場にかかわりますぞ」


「さあ、わがままを言わずにお部屋へお戻りを」


「ははは。さあさあ」


・・・・・・・・・・・・。


完っ璧にガキ扱いしてんじゃん! 彼の事!


わがままっててなによ! わがままって!


デパートの床に引っくり返って泣いてる三歳児じゃあるまいし!


セバスチャンさんの言う通りだ。


こいつら彼がまだ子どもだと思って完全に調子に乗ってる。

乗りに乗りまくってる。


本当にここらで一発シメとかないと、どこまで増長するか分かんない!


「・・・・・退け」


無表情なままの門川君の唇が、そう言った。


「・・・は?」

「退け、と言っている」


綺麗に背筋の伸びた姿勢。


真っ直ぐ前を見る切れ長の二重の目。


その色はどこまでも冷静で・・・そして冷徹だった。


「そこを、退け」


――キイィィ・・・ン・・・


周囲の冬の空気が、更に冷たく凍る。


冷気のせいで耳が痛い。


彼の唇から、体全体から、一瞬で鼻の奥まで乾燥するほどの冷気が漲った。

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