神様修行はじめます! 其の三
「門川君、あたしなら平気だから」


あたしは彼の袖に両手で縋った。


確かにこれ以上はマズイしヤバイ。


絹糸が、胃に穴が開くほど心配した通りの事態になってしまう。


あたしが火種になって彼を追い詰めてしまう。


最悪の、決してあってはならない事態。そんな事にはさせられない!


「お願い、冷静になって。あたしはいいの」

「君はよくても・・・」


―― キイィィィ!!


空気が凍りつく音が聞こえそうなほど、また急速に温度が低下した。


ピシピシと霜の花が咲き乱れる。


「君が侮辱されるのは、僕が許せないんだよ」


体の芯が・・・冷たくなりすぎて痛い!!


しま子が慌ててハンテンの前を開き、あたしを抱きかかえるように包み込んだ。


絹糸が霜の付いた体をブルルと振るい、叫ぶ。


「永久! やめい!」


「ひぃぃ! 当主様が屋敷内で力を暴走させるなど!」


「前代未聞! ご乱心なされた!」


「当主様ご乱心! ご乱心だー! 誰かー!」


・・・こら騒ぐなオヤジ! さらに状況が悪化しちゃうじゃないの!


頼むから黙って! お願い静かに・・・


「皆さん、このお寒い中で、ずいぶんと熱くなっておいでですね!」

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