神様修行はじめます! 其の三
「それでは、行く。・・・凍雨君、少し話がしたい。そこまで付いて来てくれるかな?」

「はい! もちろん!」


凍雨君の表情がパァッと嬉しそうに輝く。


彼を連れて、平伏しているオヤジ達を尻目にあたし達はやっと先に進みだした。


「ふぅ、一時はどーなる事かと思ったー!」


オヤジ軍団の目の届かない場所まで移動したのを確認して、あたしは大きく伸びをした。


絹糸もトコトコ歩きながら、ほぅっと息をつく。


「胃に穴は開きかけるわ、体に霜は降るわで散々じゃ」


「・・・言外に僕を責めていないか? 絹糸」


「言外どころかキッパリ責めておるわ。なにせ命の危機を感じたのじゃからのぉ」


「何を言うんだ。あの程度の冷気など普通だろう?」


「「普通じゃない!」」


あたしと絹糸が声を揃えて否定した。


まったくもー。自分を基準にして世界を判断しないで欲しいよなー。


こーゆー人って、あれよね。


努力さえすれば、全員ケンブリッジとかマサチューセッツ工科大とかに入学できると思ってるタイプよね。


んで、それを当然のように公言して、周囲からムカつきを買うタイプ。


相変わらずの一般常識ズレまくり~。


・・・でもあたしの為に怒ってくれたんだよね、門川君。


あんな事になって、やっぱりあたしのせいで問題がおきてしまって、申し訳ないと思うけれど・・・。


「ねぇ門川君」

「なんだ?」

「・・・ありがと。嬉しかったよ」


あたしは頬を染めて彼にお礼を言った。


心臓がカスタネットみたいに軽やかに音をたてる。

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