夕凪
プロロ-グ

『バイバイ』

それがあなたと交わした最後の言葉だった。

いつも通りの帰り道。

いつも通りの景色。

いつも通りのあなたの背中。

次の日には全てがいつも通りじゃなくなった。

カラフルな世界は色を失い、モノクロの世界の中
自分だけがいつも通り色付いて見えた。

モノクロの世界に取り残されたように。

這い上がろうとしても、その術を知らない腕は簡単に突き落とされる。

前に進もうとしても、その術を知らない脚は動かない。

早く、ここから抜け出したい。
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