夕凪


10分ほどして、外に自転車を止める音がした。

窓から覗くと、圭介が焦って来たらしく倒れた自転車を直している所だった。


「茉咲、行こう。」


里奈にそう言われ、杏を1人部屋に残して階段を下りた。


玄関で圭介と顔を合わせたけど、私たちは何も言えずに笑顔すら作れなかった。


圭介もそれを見て、黙ったまま杏の部屋に向かった。
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