夕凪

家のチャイムを鳴らすと、すぐに悠斗が顔を出した。

「あれ?バイトは?」

彼は不思議そうな顔をして
「入りな。」
そう言葉を続けた。


リビングに行くと、悟と颯太が声を揃えて
「あれ?バイトは?」
悠斗と同じことを言った。


『杏が妊娠したよ。』


私の言葉に3人は顔を見合わせた。


「…あぁ。だから圭介…」


颯太はそこまで言うと喋るのをやめた。


「杏は?なんて?」


悠斗は泣き出しそうな里奈に問いかける。


「分かんない。泣いてた。」


「…そっか。」
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