夕凪
その日は誰も帰ろうとはしなかった。
皆、ほとんど喋らずに
只、圭介からの連絡を待っていた。
時計の針が10時を指した頃、悟の携帯電話がリビングに鳴り響いた。
彼は皆の顔を見てから通話ボタンを押す。
「……もしもし。……うん、皆いるよ。…あぁ、聞いた。……分かった。」
「圭介?」
「あぁ、今から来るって。」
「どうすんのかな…」
颯太の言葉の後は、また誰も話さなかった。
少しして、玄関の開く音がする。