夕凪
………プルルルル
………プルルルル
………プルルルル
「どうした?」
受話器の向こう側がやたら静かなことで、彼は学校に行っていないことが分かった。
『今、どこ?』
「颯太と家にいるよ。」
『あたしも行っていい?』
返事を聞く前に帰る準備をしていた。
「あぁ、いいけど。…圭介来てないよな?」
『いない。悟もさっき帰った。』
「そっか。気を付けて来な。」
学校を出る前に杏と里奈のクラスを覗いたが、案の定2人の姿は見当たらなかった。