夕凪
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ねぇ、悠斗。
もしも私が受験をしなかったら
もしも私がこの学校を選ばなかったら
もしも私がこのクラスじゃなかったら
もしも私が圭介と仲良くならなかったら
そんなことばかり考えてしまう。
あなたに違う未来があったんじゃないか、そう思わずにはいられない。
ねぇ、悠斗。
きっとあなたはいつもみたいに笑って言うんでしょう。
「さぁね。」って。
こうやって頭の中であなたに呼びかけるのは、もう癖みたいなもので。
何度も何度も話しかけている。
目を閉じれば、いつだってあなたの笑った顔が瞼に映るんだ。
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