夕凪

―――――――――――――――

ねぇ、悠斗。



もしも私が受験をしなかったら

もしも私がこの学校を選ばなかったら

もしも私がこのクラスじゃなかったら

もしも私が圭介と仲良くならなかったら


そんなことばかり考えてしまう。

あなたに違う未来があったんじゃないか、そう思わずにはいられない。


ねぇ、悠斗。

きっとあなたはいつもみたいに笑って言うんでしょう。

「さぁね。」って。


こうやって頭の中であなたに呼びかけるのは、もう癖みたいなもので。

何度も何度も話しかけている。

目を閉じれば、いつだってあなたの笑った顔が瞼に映るんだ。

―――――――――――――――
< 13 / 148 >

この作品をシェア

pagetop