夕凪


涼と一緒にいた所は確実に見られていた。

それなのに何も言えない私も、何も言わない彼も間違っていた。


離れゆくものを追えない彼の苦しみを知っていながら、
私は、自分を守ろうと必死だった。


小さいプライドを守ろうと必死だった。


心のないキスをする彼が、それを受け入れる自分が疎ましくて仕方がなかった。
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