夕凪


朝、目が覚めると颯太から着信があった。


学校に行く準備をしながら、電話かけ直すと彼はすぐに電話に出る。


「もしもし。」

『ごめんね、今起きた。』

「うん。悠斗と話した?」

『…いや。会ってはいるけど、話してないや。』

「そっかー…。」

『あたし聞けないかも。知らなければそれはそれで良いかもしれないし。』


それは本心だった。
知らなくて良いこともある。自分でそう言い聞かせるしかなかったのかもしれないけど。


「茉咲は嫌じゃないの?」

『分かんないんだよね。自分の目で見たわけでもないから何とも言えなくて。』

「よし。じゃあ、現場を押さえよう。今から迎え行くから待ってて!」


颯太はそう言うと電話を切った。
< 132 / 148 >

この作品をシェア

pagetop