夕凪
朝、目が覚めると颯太から着信があった。
学校に行く準備をしながら、電話かけ直すと彼はすぐに電話に出る。
「もしもし。」
『ごめんね、今起きた。』
「うん。悠斗と話した?」
『…いや。会ってはいるけど、話してないや。』
「そっかー…。」
『あたし聞けないかも。知らなければそれはそれで良いかもしれないし。』
それは本心だった。
知らなくて良いこともある。自分でそう言い聞かせるしかなかったのかもしれないけど。
「茉咲は嫌じゃないの?」
『分かんないんだよね。自分の目で見たわけでもないから何とも言えなくて。』
「よし。じゃあ、現場を押さえよう。今から迎え行くから待ってて!」
颯太はそう言うと電話を切った。