夕凪
颯太が居てくれて良かった。
1人じゃそんなことをする勇気もないし、きっとこのままモヤモヤするだけで何もできなかったから。
颯太が来ると、一緒に悠斗の家の近くの公園に向かう。
彼は何処から帰ってきても、この公園を通らないと家には帰れなかった。
「ドキドキするね。」
そう話す颯太は面白がっているわけでもなく、真剣そのものだった。
今日女の人を連れて来るという保証はなかったけれど、なんとなく来るだろうと私は感じていた。
半日くらい公園に居ただろうか。
もう学校が終わる時間だった。
「あ。」
颯太に引っ張られて草むらに隠れると、向かい側の道に悠斗と年上らしき女の人が並んで歩いている姿が見える。