夕凪



目が覚めて携帯の電源を入れると、夜中のしつこい着信は圭介からだった。


圭介はきっと仕事中。

私はかけ直そうと通話ボタンを押そうとした指を止めた。


学校に行く気分でもないけれど、家に1人でいてもすることもない。


私はだらだらと制服に着替え、いつもより薄目の化粧をする。


リビングに行くと共働きの両親と、小学生の弟はもう見当たらなかった。


「いってきます。」


誰もいないリビングにそう呟くと、私は学校へと向かう。
< 136 / 148 >

この作品をシェア

pagetop