夕凪
目が覚めて携帯の電源を入れると、夜中のしつこい着信は圭介からだった。
圭介はきっと仕事中。
私はかけ直そうと通話ボタンを押そうとした指を止めた。
学校に行く気分でもないけれど、家に1人でいてもすることもない。
私はだらだらと制服に着替え、いつもより薄目の化粧をする。
リビングに行くと共働きの両親と、小学生の弟はもう見当たらなかった。
「いってきます。」
誰もいないリビングにそう呟くと、私は学校へと向かう。