夕凪
私は慌てて圭介の腕を掴んだ。
『ちょっと。あたし学校行くんだけど。』
私の言葉に、圭介はくるりと振り返ると珍しく真面目な顔で喋り出す。
「言いたいことがあるならちゃんと言え。
聞きたいことがあるならちゃんと聞け。
信じ合ってても、言葉が必要なときもある。
どうなってるか知らないけど、悠斗は欲しいものを欲しいとは言えないんだ。
そんなのお前が1番よく分かってるのに、何で2人して手離そうとするんだよ。
ちゃんと話せば済むことだろ。」
不覚にも圭介の言葉で、ちょっと泣きそうになった。
なんだか、我慢していたものが全部流れ出た気がしたんだ。