夕凪


『…ヒーロー気取りが。』


圭介がいなくなったリビングで、私は1人呟いた。


携帯電話を取り出すと、悠斗に電話をかける。



…プルルルルル

…プルルルルル

…プルルルルル

…プルルルルル


「もしもし。」

『おはよう。今、どこ?』

すでに学校は始まっている時間に電話に出た彼は、まだ学校にはいないようだ。


「今、学校に向かってる。茉咲の家の近くだよ。」


『丁度良いや。ウチ来てくれる?』

「うん、いいよ。5分くらいで着くよ。」



5分もしないうちに外で自転車を停める音がした。


玄関を開けると制服姿の悠斗が立っていた。
< 141 / 148 >

この作品をシェア

pagetop