夕凪
『…ヒーロー気取りが。』
圭介がいなくなったリビングで、私は1人呟いた。
携帯電話を取り出すと、悠斗に電話をかける。
…プルルルルル
…プルルルルル
…プルルルルル
…プルルルルル
「もしもし。」
『おはよう。今、どこ?』
すでに学校は始まっている時間に電話に出た彼は、まだ学校にはいないようだ。
「今、学校に向かってる。茉咲の家の近くだよ。」
『丁度良いや。ウチ来てくれる?』
「うん、いいよ。5分くらいで着くよ。」
5分もしないうちに外で自転車を停める音がした。
玄関を開けると制服姿の悠斗が立っていた。