夕凪
「おはよう。おじゃましまーす。」
悠斗は家に上がるとリビングに入ってくる。
テーブルに置かれた2つのコーヒーカップを見て彼は私の顔を見た。
「誰か来てたの?」
『うん、圭介。』
「そうなんだ。」
彼は笑いながらイスに座るとネクタイを緩める。
『あのね、少し前に颯太から電話があって。』
私は圭介のコーヒーカップを下げて、新しいコーヒーカップを置く。
彼は、じっと私の話を聞いていた。
『悠斗が、家に女入れてるって。』
私は彼の反応を見ながら、少しずつ話す。
『だからこの前、悠斗の家の近くの公園で見張ってたの。』
悠斗は何も言わず、表情1つ変えずにコーヒーを飲んでいる。
『そしたら、悠斗が女の人と家に入って行ったよ。』
彼の顔をじっと見ると、彼もまた私を見て、しばらくすると微笑んだ。