夕凪

何で笑うんだろう。
彼の笑顔に不快な気持ちになる。

彼はニコニコとしたままコーヒーを一口飲むと、私の目を真っ直ぐと見る。

「それねぇ、兄ちゃんの彼女。」

目が点になる私を見ながら彼はまた笑う。

「明らかに年上だったでしょ?
最近ご飯とか作りに来てくれててさ。
なんなら隼斗に聞く?」


『…いや、いい。』


全身の力が抜けそうだった。

「浮気だと思った?」

『思った。』

「最近、颯太まで様子がおかしかった。」

『颯太も悠斗に聞けないって。』

「で、圭介に励ましてもらった?」

『うん。』

「じゃあ、颯太と圭介には俺が話しておく。」


悠斗は立ち上がると私の横に来て、頭をポンポンと2回叩く。

「俺は浮気なんかする度胸ないから平気だよ。」

『圭介も言ってた。』

悠斗は私の頭を撫でながら、ゆっくりと近付き
優しい甘いキスをした。
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