夕凪
『何それ。聞いてないし。』
そう冷たく言い放つと、圭介は目を丸くして私を見る。
「言ったじゃん!忘れんなよ!!」
『いつ?』
「27日だよ!」
興奮する彼を横目で見ながら手帳を開く。
『あ。バイトだわ。』
「あ"―――――――!!!」
圭介は大袈裟に騒ぐと頭をかかえて机に突っ伏した。
『何の約束だったの?』
「悟と、杏と里奈と、あと俺の友達で飲もうって……あ!バイト終わったら来い!絶対な!」
悟とは、同じクラスの圭介と小学校からの友達。
圭介は私の手帳を奪うと勝手に何か書き始める。