夕凪

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ねぇ、悠斗。


"圭介と杏が付き合ったらいいな"

あの日の私は、それくらいの気持ちで飲み会に参加したよ。

圭介の友達も来るなんて話は忘れていて、2人のことで頭がいっぱいだった。

でも、何故だろう。

あの日、あなたを見た瞬間

私は人形になったかのように動けなかった。

瞬きをすることさえ忘れるくらいに。

部屋には皆がいたのに、あなたしか見えなくて

一目惚れなんて言ったら大袈裟だけど

もう、目が離せなかった。



恋に落ちる瞬間は、ひとりぼっちになる瞬間と

少しだけ似ていた。


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