夕凪
7月27日 pm9:00
「もしー。」
『今終わったけど。』
バイトが終わった私は、更衣室で帰る支度をしながら電話をしていた。
なんだか最近は、杏や里奈よりも圭介と仲が良い。
そんなことをふと考えると私は苦笑した。
「俺んちだよ。もう皆来てるから早く来い。」
『いやいや。あんたの家知らないから。』
支度の出来た私は更衣室を出て自転車にまたがる。
「南中のすぐ側だよ。その辺着いたらまた電話して。」
『あー、わかっ………』
"ツ- ツ- ツ- ツ- ツ-"
携帯から聞こえる無機質な音。
"人の返事も聞かないで切りやがった"
若干苛立ちながら自転車をこいでいると、杏がいることを変に意識して緊張する圭介を思い浮かべて私は1人笑った。