夕凪
『杏と話した?』
ニヤつきながら質問すると、圭介は鬱陶しそうに携帯を取り出す。
何やら携帯を操作し、画面を私に見せる。
「やっと番号ゲット。」
画面には杏の名前が記されている。
『え――――。知らなかったの?』
「うるせーなー。」
圭介はまた怒っていたけど、嬉しそうに、恥ずかしそうに笑っていた。
歩いて5分もしないうちに圭介の家に着いた。
『おじゃましまーす。』
玄関には沢山の靴が並んでいた。
「いらっしゃい。」
リビングから顔を出した圭介のお母さんは、圭介とそっくりで私は吹き出しそうになる口元を抑えた。
『こんばんわ。』
階段を上りながら圭介が私に言う。
「何笑ってんの?」
『いや、別に。』
階段を上がって1番奥の部屋。
圭介が先にそのドアを開けた。
「あ、茉咲来た?」
里奈の声がしてすぐに、姿が見える。
「まさきー!」
『里奈~♪』
部屋に入ると、杏と里奈と悟と知らない男の子が2人。