夕凪

「茉咲ちゃんバイトしてるんだよね?明日、バイト?」

明日はバイトではなかった。一応手帳を開きながら答える。

『いやー、明日は休みだよ。』

「そうなんだ。明日、暇?」

突然の彼からの誘いに驚いたが、手帳を見て予定を確認する。

『……暇。暇!』


「じゃあさ、明日遊ぼう?」

『いいよ!遊ぼう!』


きっと彼は笑っていた。

私がすごく浮かれた声を出したから。

私は、きっともう彼を好きで。

それは彼に、あの言葉を貰ったからなんかじゃなく、出逢ったときから恋に落ちていた。

理屈なんかじゃなくて、綺麗事なんかでもなくて、只、単純に彼が好きだと思った。
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