夕凪
話終えると、里奈が目を輝かせて私の肩をつかむ。
「なんか、運命って感じだね!」
運命なんて言葉でくくっていいのかも分からなかったけど、
互いに惹かれていることは事実で。
人に話すことで、それはより現実的になった。
まだお互いのことは何も知らない。
大人になると、どんどん理想が高くなるんだろう。
こんな人が良い、こんな出逢い方が良い。
子供の私にはまだ理想すらなくて。
この出逢いが良いのか悪いのかも分からない。
彼は私に弱い部分を見せた。
私はそれを支えたいと感じた。
もしかしたら、恋の始まりは
それだけでも、良いのかもしれない。