夕凪
砂浜に足をとられながら歩いていると、誰かが走ってこちらに向かって来る。
近付いて来るのは圭介だった。
彼は3日会わないうちに日に焼けていた。
『黒っ。』
「サーファーだからな。」
彼は自慢気にそう言うと、少し声のトーンを落とした。
「なんか、杏に避けられてる気がするんだけど。」
きっと変に意識しているのだろう。
私は悪戯に笑いながら答える。
『嫌われたんじゃない?』
彼が顔面蒼白になったのは言うまでもない。
私はその顔を見て笑うと皆の元へ駆け寄る。