夕凪

『気が利くねぇ。』

そう言いながら彼を見上げると、彼は目を細めた。


あ、こんなに背が高かったんだ。


今更気付くこと。

『日焼け止め塗ったのに焼けちゃったよー。』

腕を差し出すと、彼は私の腕の隣に自分の腕を並べる。

「まだまだでしょ。」


細くて長い腕。

その腕はこんがりと小麦色に焼けていた。


『結構黒いね。もう海とか行ってたんだ?』


「元から白くはないけど、サーフィンやるからね。」


小さいことでも彼のことを1つ知るだけで、私は嬉しくなった。
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