夕凪

結局、圭介と杏は帰ってこなかった。

2人の事情が分かっているから、誰も電話もしなかったし心配もしなかった。


「じゃあ、またね!」

そう言うと3人はそれぞれ帰って行った。


「どうする?帰る?」

悠斗くんは原付にまたがると、メットをかぶりながら私に尋ねる。

まだ一緒にいたいけど、素直にそう言っていいものなのか分からなかった。

黙っていると彼は言葉を続ける。


「茉咲ちゃんの家、門限ある?」

うちの家はそれなりに心配はされるけど、口煩く言われることもなかった。

『遅くなるなら連絡入れれば平気。』

「じゃあ、うち来る?」
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