夕凪

『悠斗くん。さっきからずっと携帯鳴ってる。』

彼はまだ眠い目を擦りながら起き上がると、携帯を開く。

画面を見て、一瞬顔をしかめるとすぐに電話に出た。


「…何?……うん。いるけど。……あぁ、別に。分かった。今開けるから。」


携帯を閉じる音が広いリビングに響き渡った。


「………圭介が来た。」


こんなときにでも人の都合はお構いなしに現れる圭介。

流石だと思った。


憂鬱そうに携帯をテーブルに置くと、彼は名残惜しそうに私の頭を撫でて玄関へと向かう。



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