夕凪
『なんか機嫌悪いね?』
小声で圭介に尋ねると、
「なぁ。珍しい。」
長い付き合いの圭介も不思議そうな目で見ていた。
その会話が聞こえていたかのように、彼はテレビに顔を向けたまま更に不機嫌な声を出す。
「何の用?」
「え?あぁ、昨日みんなどうしたかと思って。」
『こっちの台詞だけど!』
そう言うと圭介は嬉しそうに昨日の出来事を話した。
コンビニに行ったけど花火は売り切れていて、別のコンビニやスーパーに行き、やっと花火を買ったこと。
帰り道に公園で話していて遅くなったこと。
今度2人で遊ぶこと。
『へぇ。良かったね。』
圭介は何か理由をつけて、この話をしに来たかったらしい。
本当に分かりやすい人間だ。