夕凪


「悠斗が、入院した。」




入院した所は私の家のすぐ側の病院。


私は荷物も持たずに走り出していた。


駐輪場まで走った所で、颯太くんに腕をつかまれた。


「待って、ちゃんと聞いて。」


颯太くんが皆に病院の場所を話した時点で飛び出してきたから、病気なのか事故なのかも私は聞いていなかった。


「あいつ、喘息持ちなんだ。タバコの吸いすぎで、ちょっと悪化しただけ。すぐ直るから心配ないよ。」

それを聞いたときに全身の力が抜けるのが分かった。
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