夕凪

『…はぁ。』

仕方なく携帯電話を取り出すと彼は慣れた手付きで赤外線を送信し始めた。

「はい、送ったよ~。茉咲のも送って。」

この手のよく喋るうるさいタイプは苦手なはずなのに、彼のペースに飲み込まれた私はしばらくすると普通に話していた。


『工藤くんはどこ中?』

「あー、圭介でいいよ。俺、南中。このクラス3分の1くらい南中の奴らだよ。俺知り合いばっか。」

彼は嬉しそうに教室を見渡した。

声が大きくて、よく笑って、明るい可愛らしい人。

一目で皆から愛される人だと分かる。
きっと友達も多いのだろう。

しばらくして、担任らしき先生が教室に入ってきた。

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